損しないための不動産投資レントロールチェックポイント

レントロールについて考える人
投資物件の資料でレントロールを渡されたけど、なにをチェックすればいいのかわからない

よさそうな物件を見つけたら不動産屋に問い合わせますよね。

その際に資料として添付されることが多いレントロール。

家賃や入居日などが記載されていますが、どうみればよいのかわからないという人も多いようです。

しっかりとレントロールを見れるようになれば、投資物件の見極めにとっても役に立ちますよ!

ただ、レントロールだけではわからないこともあります。

不動産投資で損しないためにも、本日はレントロールについて理解を深めましょう!

  • レントロールの見方がわかる
  • レントロールで注意すべきポイントがわかる
  • レントロールには書かれていない重要なポイントがわかる

本日はこんなラインナップで書いていきますね。

この記事を書いた人
Renと申します。 宅建士の資格を取得後、不動産・建設関係の仕事をしておりました。 宅地建物取引士(宅建士)・1級土木施工管理技士・1級建築施工管理技士等の資格を保有しています。

レントロールとは?

レントロールとは、入居者の家賃や入居日などが記載してある賃料明細表のことです。

不動産投資においては、収益に直結する資料のため投資判断において非常に重要な書類となります。

レントロール例

これは私がこの記事の為に簡単に作ったレントロールです。

例として作りましたが、実際に私が所有している物件をもとにしています。

分かりやすいように簡素な作りにしてみました。

実際はもっといろいろ書いてあることが多いのですが、おおむねこんな感じだと理解していただければ大丈夫。

不動産投資家なら、上の表をぱっとみただけで、読み取れることはたくさんあります。

ただ、レントロールには法的に書かなければいけない項目などは決まっていないという点に注意が必要です。

つまりは作成する不動産屋や売主にとって不都合なことは書かれていない可能性があります。

この場合も、レントロールの知識があれば、見破ることができます。

一般的に記入があるはずなのに渡されたレントロールに書いてない場合は不動産業者にきちんと問い合わせましょう。

レントロールには何が書いてある?内容一覧

それでは、一般的にレントロールに書いてあることを記入していきます。

まずは一覧で見てみましょう。

  • 号室・用途・面積・部屋のタイプ
  • 入居者・属性
  • 賃料
  • 共益費
  • 敷金等

先ほども書いたように、法で項目が決まっているわけではありません。

しかし、だいたい上に列挙したような内容が書いてあることが一般的です。

詳しく見ていきましょう。

号室や用途、面積など

101号室などの記載や場合によっては用途が書いてあります。

賃料にバラツキがある場合に不思議に思われないように面積が書いてある場合も多いですね。

同じ面積なのに賃料がバラついているなどといった場合は、あえて書かいていないレントロールもよくあります。

部屋タイプの記載があるレントロールもありますが、全部屋同じ間取りで物件概要書に記載があるときは省略されることも多いです。

入居者・属性

入居者についても書いてあることが一般的です。

特に、借りているのが法人か個人かというのは重要なポイントなので、どのような人が借りているのかという点はチェックしておきましょう。

賃料等

これが書いていないレントロールはないでしょうね。

レントロールにおいては最も重要な項目で、賃料の額が気にならない投資家もいないでしょう。

賃料のほかに、共益費や駐車料金、敷金なども記載してあることがほとんどですので、見落とさないようにしましょう。

レントロールのチェックポイントと注意点

それではここから、実際にレントロールをチェックしていきましょう。

先ほどの私が作った簡易的なレントロールを例にとりながら、チェックポイントや注意したい項目を解説していきます。

賃料は相場と乖離していないか?

まずは賃料のチェックからしていきましょう。

賃料の項目で見るべきなのは、同じ部屋タイプの同一地域の部屋と比べて相場と乖離していないかどうかという点です。

稀ではありますが、売れやすいように高い賃料で仮の入居者に入ってもらっているような事例もあります。

当然、売買成立後に退去されてしまうので、注意が必要です。

また、そうでなくても周りのアパートに比べて高い賃料であった場合、値下げ交渉や入居者の入れ替わりで賃料が下がる場合があります。

家賃のばらつきに注意

家賃については、古くからの入居者と新しい入居者でどうしても家賃に差が出てきてしまいます。

そのばらつきにも注意が必要です。

このレントロールでいうと、101号室の入居者は他の入居者よりも10年前に入居しています。

最近の入居者と比べて9,000円高い家賃となっていますよね。

こんな感じで、古い入居者と新しい入居者で家賃に差が生じてくるのはよくあることです。

例えば、この101号室の住人が退去し、新たに募集を掛けた際、当然ながら相場なりに家賃は下がります。

良いところ他の住人と同じで55,000円+共益費等となるでしょう。

こうなってしまうと、月の収入が9,000円ダウンしますよね。

投資家としては見落とせないポイントです。

通常、利回りは現在の収入で計算されています。

ただ、それだとこのレントロールの例のように、近い将来で利回りが低下する可能性があるんです。

利回りは、広さや間取りが同じ場合、低い賃料に合わせて考えて投資判断をするのが賢明です。

部屋の号数にも注意が必要

あまり気に留めない人も多いですが、号数にも注意が必要です。

たとえば、不動産屋にこういわれたら、あなたなら何室あると思いますか?

不動産屋
この物件は1階部分が105号室まで
2階部分が205号室までありますよ!

ワンフロア5部屋ずつ、計10部屋と思った人も多いのでは?

ここで先ほどのレントロールを見てみましょう。

部屋番号の丸で囲った部分をご覧ください。

確かに105号室、205号室までありますが、この物件には104と204はありません。

つまり、8部屋しかないのです。

実際に古い物件にはたまにこういうことがあります。

いわゆるゲン担ぎというやつですね。

何号室まであるかではなく、きちんと部屋数を確認しましょう。

私も実際にゲン担ぎによって飛ばし番号がある物件を経験したことがあります。

【関連記事】
不動産投資ではゲン担ぎの番号振りにも注意|筆者体験談

賃借人に法人がある場合は特に注意

つづいては属性についてですね。

大きくは個人か法人かということですが、法人の入居には注意が必要な場面があります。

再び、このレントロールの例で見てみましょう。

この物件には4件の法人契約があります。

そのうちすべてが同一の日に入居になっていますよね。

こういう例ではわかりやすいのですが、入居日がバラバラの場合も法人契約が複数ある場合は同一の法人が借りていないかどうかよく確認しましょう。

個人的な印象になりますが、同一の法人が借りている場合は、メリットもありますがデメリットの方が大きいと感じています。

メリット


・個人の入居者よりは賃料滞納の可能性が低い
デメリット


・値下げ交渉になった際、複数の部屋の家賃が同時に下がる
・一斉退去の可能性がある

複数の部屋を同一の法人が借りている場合に起こりうるメリットデメリットはこんな感じですね。

特に、一斉退去になったときはかなりやっかいです。

本社が投資対象物件の近くにあるような企業であっても、本社移転の可能性は常にあります。

よく注意しておきましょう。

入居日に不自然さがないか

続いてのチェック項目は入居日です。

このレントロールでいいうと201~203号室ですね。

いずれも個人での契約ですが、入居日が全て平成27年になっています。

実際に私が購入した収益物件でも、1部屋以外の入居日が全て同じ年ということがありました。

こういった場合、何らかの理由で以前の住人が一斉に退去した可能性があります。

可能性としては、事件か迷惑な住人が当該物件もしくは近隣に引っ越してきたかということも考えられます。

私が購入した収益物件については、不動産会社や売主に問い合わせました。

偶然、その年は入れ替わりが多かったという回答ではありましたが、念の為に治安の調査と兼ねて近隣でそれとなく聞き込みをして何もなかったことを確認しました。

周辺での聞き込みは、売主が嫌がる可能性もありますので、配慮して行いましょう。

この辺で物件を探している、くらいの方がいいでしょう。

そのほか、最近入居したばかりという契約者が多い場合も注意が必要です。

賃料確認のところでも書きましたが、入居率を底上げするために仮の入居者に入ってもらっていることも稀とはいえ、あることです。

その他の料金関係についても把握しておこう

賃料や駐車料のほかにも金額面で記載のあるレントロールがあります。

例えば、私が交渉した物件で町費があるアパートがありました。

入居者から町費を集め、まとめて大家さんが払っているような物件ですね。

当然ながら、町費は集めたところで町内会にお支払いするわけですから自分の収入にはなりません。

また、水道料金などを一括で大家が払い、定額を住人から集めているような場合もあります。

レントロールに、最終的には外部に払うお金なのに、さも収入のように書いてある場合があります。

きっちり差し引いて計算するように気を付けましょう。

レントロールに記載がない場合も、念のために要確認ですね。

そのほか、入居者以外にも駐車場を貸し出している場合には駐車場からの収入も家賃と同様の注意を払いましょう。

レントロールを信用しすぎない

これはレントロールのチェック項目というわけではないのですが、気を付けてほしいので書いておきます。

先ほどから書いているように、レントロールは書かなければいけない項目が法律で決まっているようなものではありません。

不動産投資家でやりがちな失敗はレントロールを見たからといって、個々の書類をよく確認しないパターンがあります。

レントロールはあくまで、収入に関する全体的なことを俯瞰で見れる書類にすぎません。

賃借人との個々の契約は賃貸借契約書によりますので、レントロールを見たからといっても、他の書類もしっかり確認するようにしてください。

レントロールには書いていない支出に注意

レントロールでの確認項目はだいたいお分かりいただけましたか?

レントロールでは、主に収入に関する事項が記載されます。

ただ、細々とした出費に関しては書いていない場合が多いです。

家賃を得られても、出ていくお金が多いのでは収益物件としては魅力が薄いです。

外部駐車場を借りていないか

その他の項目で駐車場収入がある場合と書きましたが、逆に駐車場を外部に頼っている物件もあります。

入居者に対して駐車スペースが足らず、外部の駐車場を借りているような場合ですね。

金額も低額でない場合もありますので、注意が必要です。

外部駐車場を一括で借りているという事例は、実際かなり多いです。

私の所有しているアパートでも、外部駐車場を借りているものがあります。

インターネットや衛星放送

入居者に入ってもらいやすいように、インターネットの設備や衛星放送の設備を導入し、大家が負担している場合もあります。

この場合、毎月固定での支出となるので、収入から差し引いて利回りを計算しておきましょう。

レントロールに関する筆者の体験談

お勉強のような内容ばかりでもつまらないですので、実際に筆者の投資体験からレントロールに関するものをお話ししますね。

レントロールは必ず渡されるものではない

まず、私が投資を始めたばかりのころ、地方の物件の購入を検討していた時の話です。

地方の不動産屋さんでは、レントロールを作っていないということは、実はよくあります。

特におじいちゃんが個人でやっているような不動産屋さんでは、作ってないことが多いという実感ですね。

この時も、レントロールは渡されず、聞いても作っていないとのこと。

私の場合は自分で作りました。

やはりレントロールを作って物件の収入面を精査する必要がありますし、金融機関から提出を求められる場合もあります。

金融機関からレントロールを見せろと言ってくる場合がある

金融機関からレントロールの提出を求められる場合があります。

実際、私が不動産投資を始めたばかりのころ、物件購入の融資の打ち合わせで金融機関からレントロールの提出を要請されました。

金融機関には私が作成したものでよいか確認し、お渡ししたのを覚えています。

幸い、私は宅建士で不動産業にも携わっていたので、難無く作ることができました。

ただ、一般の方でも、賃貸借契約書などを見ながらレントロールを作ることは可能です。

レントロールを作ってみよう【雛形配布】

レントロールは不動産屋から資料として渡されるものですが、自分で作れた方がいいですね。

例えば、持っている収益物件が多くなってくると、レントロールの様式が不動産屋によってバラバラになってきます。

ご自身の書式で統一しておくと、物件を管理する際に便利ですよ。

また、自分の収益物件を売却する時もレントロールを作れるといいですよね。

追加で物件を購入する際も金融機関に今現在持っている物件のレントロールの提出を求められる場合もあります。

というわけで、今お持ちの物件がある方は、レントロールを作ってみましょう。

レントロールを作っていて、「これはあまり書きたくないなぁ…」という部分が出てくることもあります。

逆を言えば、そういったところが売主や不動産屋の気持ちになってくるので、勉強になる部分も多いです。

これは先ほどから私が例として用いてきたレントロールのひな形です。

ざっと作ったのでかなり簡素なものではありますが、最初はこの程度のものでいいです。

きっと、ここも書いておきたいなどの気づきが出てくるはずですので、自分の好きに改造して使ってくださいね。

まとめ

レントロールは不動産投資において収益に直結する重要な資料です。

正しい読み方を習得すれば、物件の弱点も見えてきますし、交渉の材料にも使えるでしょう。

また、不動産投資で損をしないことの第一歩ともいえますので、投資家としての自分を守る意味でも、しっかりと目を通して確認するべきことは確認しましょう。

他にも分からないことがあったら、コメント欄やお問合せフォームからご質問ください。