不動産投資に宅建の資格や免許は必要か?宅建士が解説!

不動産投資を考えている人にとって、宅建の資格や免許が必要なのかどうかは気になるポイントですよね。

まず、宅建の資格が必要かどうかについては、役に立つという意味で必要か、法律上必要かという問題に分かれます。

今回は不動産投資家にとっての宅建の資格・免許について解説していきます。

この記事を書いた人
Renと申します。 宅建士の資格を取得後、不動産・建設関係の仕事をしておりました。 宅地建物取引士(宅建士)・1級土木施工管理技士・1級建築施工管理技士等の資格を保有しています。

宅建の資格・免許とは?

そもそも、資格と免許は違うということはご存じですよね。

宅建の資格というと、「宅地建物取引士」という資格があります。

不動産系の資格にはほかに、不動産鑑定士や土地家屋調査士というものがあります。

ですが、「宅建」というメジャーな資格ということで、ここでは宅地建物取引士(以下、宅建士)について取り上げていきますね。

また、免許というと、「宅地建物取引業を営もうとするものが受ける国土交通大臣又は都道府県知事の免許」ということです。

つまり一言で言ってしまえば「業者・不動産屋」ですね。

ということは、私は個人投資家だから宅建業の免許は必要ないってことか!?
Ren
いいえ、個人投資家であっても宅建業の免許が必要になる可能性もあるんです!

個人の不動産投資家であっても、投資スタイルによっては宅建業の免許が必要になる可能性があります。

それでは資格・免許それぞれについてみていきましょう。

不動産投資家に宅建士の資格は必要か?

まず、宅建士になる方法ですが、これは「宅地建物取引士資格試験」に合格しなければなりません。

宅建士資格試験については、詳しく解説した記事がありますのでそちらを参照してください。

【関連記事】宅建士とは?不動産屋の必須資格

宅建士になるには、この試験に合格して都道府県知事の資格登録を受け、知事の発行する宅建士証の交付を受ける必要があります。

結論から申しまして、不動産投資家になるのに宅建士の資格は必須ではありません。

しかしながら、資格試験の勉強の過程で不動産に対する知識が得られますので、何か不動産の勉強をしたいということでしたらおすすめの資格ではあります。

また、この後に解説する宅建業の免許の取得を検討する場合は、宅建士の資格をとっておかないと困ったことになりかねません。

不動産投資家に宅建業の免許が必要になるケースとは?

さきほども書いた通り、不動産投資家にも宅建業の免許が必要になる場合があります。

重要なポイントは、あなたの投資スタイルが宅建業とみなされるかどうかです。

では、宅建業とは何でしょうか?

  • 宅地または建物の売買
  • 宅地または建物の交換
  • 宅地または建物の売買、交換または貸借の代理
  • 宅地または建物の売買、交換または貸借の媒介

以上の事柄を「業として行う」場合、宅建業にあたります。

このうち、代理や媒介はわかりやすいですよね。

逆に言えば、上の事柄に当てはまらない場合、宅建業にはあたらないということです。

不動産投資についてはどうでしょうか。

もし、物件を人に貸して賃貸料で利益を得る場合はどうでしょう。

自分の物件を賃貸する行為は、売買でも交換でも賃借の代理・媒介でもありません。

つまり、宅建業には当たらないということです。

しかし、値上がりしそうな不動産を購入し、転売することで利益を得て、これを繰り返す場合はどうでしょう。

これは「業として」売買することになり、宅建業にあたると判断される可能性があります。

冒頭で書いた「投資スタイルによっては宅建業の免許が必要になる可能性がある」というのはこのことです。

先ほどから出ている「業として行なう」というのがキーワードですね。

極端な話、投資家でなくても不動産を売買することはありますよね。

その際に、たまたま価値が上がっていて自分が買った時より高く売れちゃったなんてこともあります。

業として行なうとは、そういった一回限りやたまたまといった成果のことではなくて、利益を得る目的で不特定多数に複数回にわたって不動産を売買することなどです。

詳しくは、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」というものに記載があります。

1 「宅地建物取引業」について
(1) 本号にいう「業として行なう」とは、宅地建物の取引を社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指すものであり、その判断は次の事項を参考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする。
(2) 判断基準
① 取引の対象者
広く一般の者を対象に取引を行おうとするものは事業性が高く、取引の当事
者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。
② 取引の目的
利益を目的とするものは事業性が高く、特定の資金需要の充足を目的とする
ものは事業性が低い。
③ 取引対象物件の取得経緯
転売するために取得した物件の取引は事業性が高く、相続又は自ら使用する
ために取得した物件の取引は事業性が低い。
④ 取引の態様
自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとするものは事業性が高く、
宅地建物取引業者に代理又は媒介を依頼して販売しようとするものは事業性が
低い。
⑤ 取引の反復継続性
反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、1回限りの取引とし
て行おうとするものは事業性が低い。

※国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」より抜粋

全文だとすごく長くなりますので、注釈は省いて抜粋しました。

全文をご覧になりたい方は「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」で検索するとすぐに出てきます。

先ほども書いたように、自分の物件を他人に貸す「賃貸」であれば宅建業にはあたりません。

しかしながら、物件を多数所有している場合、目的が賃貸であってもいずれは売ることを考えますよね?

その場合、「宅建業にあたる」とみなされる可能性もあります。

上の③にあるように、自ら購入者を募るのではなく宅建業者に媒介を依頼する場合、事業性が低くなりますが、そのほかの条件において事業性が高くなると解釈できますよね。

このように賃貸が目的でも出口戦略によっては免許が必要になる可能性もあります。

実際問題、摘発されるのかと思われるかもしれませんが、宅建業にあたる可能性があるならば免許の取得を検討するのはよいことかと思います。

注意点として、免許を取得し業者となってしまえば、売買の際も当然ながら宅建業者として扱われます。

この辺については、また別の記事で書きますね。

宅建業者と宅建士

ではいざ、宅建業者になるにはどうすればよいのでしょう?

免許を受けようとする都道府県の窓口に提出書類をもっていかないといけませんよね。

この時、事務所の設置や専任の取引士など用意しておかなくてはいけません。

事務所はどこにあってどういう事務所なのか(写真)、専任の取引士は誰なのかといった提出書類があるからです。

ここで、宅建士のところで書いた「免許取得をする場合、宅建士の資格をとっておかないと…」の話になります。

例えば会社を設立して法人として宅建業の免許取得を目指すとします。

しかし、あなたが宅建士の資格をもっていなければ誰かほかに宅建の資格を持っている人を探さなくてはなりません。

なので、将来的にでも宅建業の免許を視野に入れているなら、宅建士の資格は取っておいた方がよいでしょう。

まとめ

不動産投資と資格・免許について書いてきましたがいかがでしたでしょうか。

資格も免許も必ずしも必要というわけではありません。

しかしながら、必要になる場面もあるということをお分かりいただけたなら幸いです。

免許に関してもメリット・デメリットありますので、また別の記事で解説したいと思います。

それでは今日はこの辺で。