【宅建士が教える】不動産投資に宅建士の資格保有はメリットになるか?

不動産投資をしたいけど、宅建士の資格を持っていた方がいいかな?

宅建士の資格を持っていたら不動産投資に有利に働くかな?

本日のテーマは不動産投資と宅建士の資格について。

不動産関連の資格といえば、まず浮かんでくるのが宅地建物取引士(旧宅地建物取引主任者)ですよね。

不動産投資に興味がある人なら、一度は宅建士の取得も考えたことがあるんじゃないでしょうか?

実際に不動産投資に対してどんなメリットがあるのか?

本日解説していきます。

ちなみに、冒頭で結論を申し上げると

「メリットはあるが、取れなくても悲観することはない」

というのが私の見解です。

この記事を書いた人
Renと申します。 宅建士の資格を取得後、不動産・建設関係の仕事をしておりました。 宅地建物取引士(宅建士)・1級土木施工管理技士・1級建築施工管理技士等の資格を保有しています。

宅建士とはどのような資格?

念のために書いておくと、不動産投資において自らの物件を貸し出すということに資格は必要ありません。

自らの物件を貸すという行為は、宅建業にあたらないからですね。

宅建士の資格が必要になるのは、他人の物件の売買や賃貸の仲介をする場面です。

宅建士はこの「仲介」をするために必要な知識を保有するものに与えられる資格ですね。

つまりは、宅建業法・民法・法令上の制限や税金等を勉強し、宅建士の資格試験に合格したものです。

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不動産投資における宅建士資格保有の5つのメリット

それでは宅建士の資格が不動産投資においてメリットとなるケースを順に紹介していきましょう。

投資対象を専門家の視点から分析できる

一言に不動産投資といっても、新築アパート投資や中古アパート投資、マンション投資など投資手法は様々です。

また、その投資スタイルによって必要知識もことなります。

宅建士の資格の為に勉強する知識はそれらの知識を幅広く学ぶことができます。

例えば、あなたが土地を購入して新築アパートを建てるとします。

ここで必要になってくる知識として

  • その土地にはどのくらいの広さの建物が建てられるか?
  • どのくらいの高さの建物が建てられるか?
  • そもそも建物が建てられるのか?

これらのことは、物件の概要書を見れば、宅建士であればすぐにわかります。

ただ、知識がなければ不動産屋に「こういう建物を建てたいのですが、可能ですか?」などと問い合わせなければなりません。

これは細かいことのようで、非常に手間です。

実際に私が不動産投資をしているとよくあることなのですが…

この物件、取り壊した後に新築のアパート立てようかな⇒あ、これ再建築不可じゃん

ってことがよくあります。

再建築不可かどうかは、宅建士の知識があれば物件の概要書を見ればすぐにわかります。

重要事項説明書の内容もよくわかるようになる

先ほどのことと近い内容になりますが、こちらは売買の交渉にすでに入っている段階でのことですね。

不動産投資に興味のある人であれば、重要事項説明書はご存じでしょう。

略して重説といわれますが、字のごとく、非常に重要なことが書いてあります。

不動産屋の事前説明が、実際と相違がないのか、不利な条件になっていないかなどの判断は素人では中々難しいものです。

さらに、おかしいな…と何となく思ったとしても相手から「このようなものですよ」と押し切られてしまえば不動産業界の常識なのかと鵜呑みにしてしまう人もいます。

あなたが宅建士であれば、相手が仮に悪徳な不動産屋であったとしても、牽制する材料になりますよね。

このように重要事項説明書の内容を読み解くことができるというだけでも、宅建士のメリットは大きいでしょう。

取引相手からの信用度が上がる

上でも述べたように、不動産屋に対しても有利に働く場面があります。

また、私が感じる実感としては、売主さんも私が宅建士であることがわかると安心されることがありますね。

銀行などの金融機関と融資の打ち合わせをする際も、私(宅建士)から見てもいい物件であるということで有利になることもあります。

交渉の場面では、物件の良くない部分を法的な目線から指摘することで価格交渉をすることも可能です。

ただ、これは競合がある物件などでやりすぎると「じゃあ、あなたには売りません」などとなってしまう可能性があるので注意が必要です。

この辺の交渉感覚は投資家として養うしかありませんね。

出口戦略で有利

不動産投資においては出口戦略が非常に大切です。

出口戦略とは、投資物件をどのように売却するかということですね。

私の場合、物件取得の際にはその物件を将来的に売却することまで考えて購入しています。

そして、投資物件を売却する際に必要になるのが宅建士の知識。

不動産屋に仲介を依頼するにしても、知識がないとお任せになってしまいますよね。

また、仲介手数料も数十万から数百万に上りますので、自分で資格を保有して売買ができるならば、資金面的にも有利です。

また、自己物件の売買が業に当たらないかどうかの判断も必要です。

例えば、土地を10に分割し、10人別々の人に売却した場合、宅建業の免許を持っていなければ宅建業法違反となってしまいます。

仮にこのような場合にも、宅建士の資格があれば、他の資格者を雇用せずに宅建業の免許を取得することができるので、売買の幅も広がりますよね。

いざとなれば開業もできる

さきほど少し触れましたが、宅建士の資格を持っていれば、開業も視野に入ります。

不動産投資と法人化するメリット・デメリットはまた別の記事で書きますが、宅建業の免許を取得するならば、5人につき1人は宅建士が必要です。

そのため、宅建業で開業したくても宅建士を雇わなければなりません。

企業の新規事業ならともかく、個人が開業しようとして宅建士を雇えるかといえば、難しいところでしょう。

雇えたとしても、雇用主が宅建士でない場合、足元を見られてしまいます。

宅建業者であれば、宅建士は必須ですので、ただ一人の宅建士に辞めるといわれては大事になってしまうんですよね。

そういった面でも、いずれ不動産投資を拡大していき、起業なんていうのも視野に入れている人は、宅建士の資格を取っておいた方がよいでしょう。

宅建士になるには?

不動産投資において、宅建士の資格を保有することには多くのメリットがあります。

それでは、宅建士になるには具体的にどうしたらよいのか?

当然、資格試験に合格しなければなりません。

宅建士の資格は、国家資格。

受験者は毎年20万人程度なので、受験者数としては国家資格でトップクラスに多い人気の資格です。

合格率は15%程度なので、比較的に難しい資格といえるでしょう。

宅建士の資格試験は難しいか?

私自身が宅建士ですので、大きい声では言えませんが…

ぶっちゃけていうと、しっかり勉強していれば難しいとは思えません…

実際に、合格率15%程度といっても、試験会場に行ってみればわかります。

受かりそうにない人がかなりの数いるんですよね。

  • 会社に言われて受けに来た
  • 毎年受けているけど、毎年一夜漬け
  • せっかく法律の勉強してるから腕試しに受けに来た

このような人が非常に多いです。

真面目に宅建士の資格試験に合格するために勉強してきましたという人は少ない。

逆に言えば、その数が15%程度なのではないかと。

分かりやすく言うと、司法試験のように勉強しても合格できない人もいるというような資格ではないということです。

宅建士の試験は、勉強さえすれば、合格できる資格です。

逆に言うと、応用力より知識が必要な試験なので

頭が良くても勉強する時間が取れないのであれば、合格は難しい試験なのです。

ただ、サラリーマンでは勉強の時間がとれず、毎年落ちてしまうという人も多い。

つまり、勉強の時間がたっぷりとれるか、時間が取れないのであれば効率の良い勉強をしなければ合格は難しいでしょう。

宅建士が教える宅建に合格するための効率的な勉強方法

これは補足的な説明になるので、具体的な勉強方法は他の記事にゆずります。

ここでは簡単に説明しますね。

大きく分けて、宅建の勉強方法は2段階です。

  1. 知識を頭に叩き込む
  2. 過去問をひたすら解く

このうち、時間がかかるのは①の知識を頭に叩き込む部分。

ここさえ押さえてしまえば、後は過去問をひたすら解きさえすれば合格できます。

この知識を取り込む部分を効率的に行わなければなりません。

宅建士の試験は宅建業法・民法・税法など幅が広いです。

狭く深くではなく、広く浅く、効率的に知識を蓄えないといけません。

ただ、この学習の深さについてはどの程度までやればいいか、なかなか判断が難しいですよね。

最近は宅建用の学習ツールも充実しているので、そういった商品を活用すれば適格・効率的に知識を習得することも可能でしょう。

例えば

資格試験のオンライン講座【資格スクエア】

こういったスマホでできるものだったら、隙間時間にも知識を習得することができますね。

時間がない方は、効率よく知識を習得して、過去問での練習の時間を早く確保しましょう。

宅建士の資格保有にデメリットはある?

メリットについて書いてきましたが、不動産投資で宅建士の資格保有がデメリットになる部分はあるのでしょうか?

これは私の体験談ではあるのですが、私が宅建士であると知るや、細かい説明は省略しようという業者がいましたね。

つまり、不動産に詳しいなら書類だけ読めばわかるでしょ?というようなものです。

ただ、重要事項説明は業者間取引でもない限りは省略できませんし、宅建業者であれば、いくら相手が宅建士でも詳しく説明するべきです。

宅建士の資格を取得しても、当然分からないことというのはでてきます。

知識も得意不利がありますからね。

なので、いくら宅建士であると不動産業者をけん制しても、逆手にとられる可能性もあるのです。

大事なのは、分からないことを知ったかぶりしないこと。

疑問に思ったことや分からないことは素直にきちんと聞きましょう。

不動産の関連資格は?

ここからは補足説明になりますが、宅建士以外の不動産関連資格をご紹介しておきます。

必ずしも宅建の試験だけが不動産投資に有用というわけではないですからね。

  • マンション管理士
  • 土地家屋調査士
  • 不動産鑑定士
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • ファイナンシャルプランナー

などなど、ほかにもたくさんの資格があります。

これらの中でも、例えば不動産鑑定士はかなりの難関資格です。

不動産関連資格といえば、宅建士がクローズアップされがちではありますが、関連資格にも有用なものが多くありますね。

賃貸借不動産経営管理士といった、比較的新しくて面白そうな資格もあるので、私もまた勉強したいです。

不動産投資と宅建士まとめ

不動産投資において、宅建士の資格は有効に作用する場面が多いです。

しかしながら、必ずしも必要というわけでもありません。

むしろ、宅建士の資格をとるために勉強して習得した知識こそが有用ともいえます。

あくまで宅建士の資格試験は習得した知識の確認の意味やあなたへの価値の積み上げとして挑戦してみてはいかがでしょうか。