マンションを売却したいけど、貸しているのでどうしたらいいか分からない
他人に貸したままマンションの売却ってできるの?
住んでいないマンションを売却しようか賃貸しようか迷っている人や、すでに賃貸しているマンションを売却したいという人は多いです。
そこで考えるのは、賃貸中のマンションの売却ってどうすればよいのかということ。
結論からいうと、賃貸中のマンションの売却は可能です。
基本的に、賃借人(借りている人)の同意もいりません。
ただ、賃貸中のマンションの売却は難しいことも多く、手順も多いです。
そこで本日は賃貸中のマンションの売却ポイントや手続き等についてまとめていきます。
Renと申します。 宅建士の資格を取得後、不動産・建設関係の仕事をしておりました。 宅地建物取引士(宅建士)・1級土木施工管理技士・1級建築施工管理技士等の資格を保有しています。
賃貸中のマンションを売却する2つの方法
賃貸中のマンションを売却する方法は大きく分けて2つあります。
・賃貸物件のまま売却する
・入居者に退去してもらって売却する
この2つになります。
どちらの方法も詳しく解説していきますね。
ただ、現実的には1つ目の賃貸物件のまま売却することになる場合が多いです。
賃貸物件のまま売却する
賃借人はそのままに、マンションを売却する方法です。
いわゆる「オーナーチェンジ物件」として販売するわけですね。
空室のマンションを売却する際にお客様となるのは、多くが一般のお客様になります。
対して、オーナーチェンジ物件を購入するのは投資家である場合がほとんどです。
つまりは、収益物件として売却するというわけですね。
当然ながら、収益性の面や利回りなどが絡んできます。
例えば、あなたが今1月の賃料15万円でマンションのお部屋を貸していたとします。
そうすると年間の収入は
15万円×12か月=180万円
築年数や立地などによって投資家の理想とする利回りは変わってきますが、仮に10%の表面利回りとすると
180万円÷10%=1,800万円
となりますね。
あくまで簡単に説明するために表面利回りを使いましたが、実際は管理費などの経費がかかるので、査定の際の計算はこれよりやや複雑です。
入居者に退去してもらってから売る
つづいて、現在入居している賃借人に退去してもらって、中古マンションとして売る場合です。
基本的に話し合いになるので、コストもかかります。
すんなり賃借人が退去してくれれば、中古マンションとして販売できます。
中古マンションとしての販売では、周辺の類似する取引事例を参考に価格が算定されますね。
もちろん、賃貸借していた経歴から算定して収益物件として売却することもできますよ。
ただ、私の経験上というか、一般的にもそうなのですが、中古マンションとして売った方が高く売れる事例が多いですね。
しかし、賃借人に退去してもらうのは、なかなか難しいのが現実です。
賃貸借契約は借地借家法という法律に基づいていますが、この借地借家法は借主に有利な法律なんですよね。
当然といえば当然の法律です。
「出ていけ!」ができない以上、お話合いということになります。
そうなると、引っ越し費用や次の物件が決まるまでの時間を待つためのロス。
お金も時間もかかります。
なので、現実的にはオーナーチェンジの収益物件で売却するのが一般的というわけです。
なお、定期借家契約という「期間の定めのある賃貸借契約」であれば、退去してもらうことができます。
この場合は、契約期間満了の半年前までに賃借人に立ち退きの準備をするよう通知しなければなりません。
賃貸マンション売却のデメリット
ここまで書いたように、賃貸中のマンションは賃貸物件として売却するのが一般的です。
上で少し触れましたが、マンションの売却金額が住居用として販売するより低くなる傾向にあるということ以外にも、デメリットはあります。
少しでもデメリットを減らしておき、高く売れるようにしましょう。
内覧ができない
入居者がいるため、基本的に内覧はできませんよね。
そこは不動産投資家も承知しています。
ただ、中がどうなっているか分かると手が出しやすいのは投資家も一般の方も同じです。
なので、修復歴があれば、その履歴を詳しく用意しておきましょう。
特にお風呂など、修繕にお金がかかる部分は、取替などしていればプラスにとらえる投資家は多いです。
私も不動産投資家で、現在3棟を保有していますが、実際に部屋の内部を1度も見たことがない物件もあります。
それでも、室内のイメージがつけば投資できるものです。
売りにくい
賃貸物件を買うのは、先ほどから書いているように、収益目的の不動産投資家です。
なので、一般客を相手にするよりずっと数が少ないんですよね。
私も投資をしていて、マンション一部屋への投資というのはなかなか難しいなと感じてはいます。
が、不動産投資家にはマンション投資を積極的に行っている人もいるので、一概に売れないということはないです。
投資家へアピールする方法を考えておくとよいでしょう。
具体的には、賃借人の賃料滞納がなかったことや先ほど書いたようなリフォームの履歴などですね。
私も収益物件を購入する際は、売主さんにそれとなくなんで売却するかをたずねています。
多くの投資家は、なんで売るのかということが気になるんです。
なので、売る理由を問われたさいの返答も用意しておくとよいですね。
賃貸中のマンションの売却手順
それではここからは、賃貸物件としてマンションを売却する手順を書いていきます。
手順としてはざっくりこんな感じです。
- 賃借人に購入の意思がないか確認してみる
- 賃借人に退去の意思がないか確認してみる
- 仲介する不動産業者の選定
- 必要書類の準備
- 売買契約
- 賃借人への通知
詳しく解説していきますね。
賃借人の意思確認
これは、借りている人に買い取ってもらうことができるかということになりますね。
必ず意思確認をしなければならないということではありませんが、確認しておいた方が有利に働く可能性があります。
管理をお願いしている管理会社がいる場合は任せた方が安心かもしれませんね。
・仲介料を安くできる可能性がある
・買い手を探さなくてよい
・物件のことをよくわかっているので話がスムーズ
まずは、仲介料ですね。
トラブルをさけるため、不動産屋に仲介を依頼するのが一般的ですが、不動産屋としても買主を探さなくていいわけです。
その分、仲介手数料の値引き交渉の材料に使えます。
買い手を探さなくていいというメリットも、当然のことですね。
住んでいた人が買うわけですから、当該マンションのメリット・デメリットについても熟知しているはず。
売買交渉もスムーズにいくことが予想されます。
が、意外にも買ってくれるケースは多いですよ。
意外にも、賃借人がマンションを買ってくれる例は少なくありません。
特に人気地区のマンションであれば、購入できる物件が売っていなくて賃貸で住んでいるという人も多いのです。
賃借人に買う意思がない場合、次に確認するのが退去の意思です。
退去することが事前にわかっているなら、それまで待って、中古マンションとして販売したほうが高く売れる可能性もあるからですね。
不動産業者の選定
入居者に購入の意思がない場合、不動産業者に依頼して買主を探してもらわねばなりません。
この場合、賃貸中のマンションの仲介、つまりは収益物件の仲介に強い不動産業者を選ぶ必要がありますね。
収益物件の仲介に強いというのは、経験が豊富であるというのももちろんですが、不動産投資家のお客をたくさん持っているところですね。
買い手の候補がたくさんいる状態の不動産業者の方が早く売却できるでしょう。
では、どうやって選ぶか?
もちろん、一軒一軒不動産業者に見積もり依頼を掛けてもよいのですが、相当大変です。
今では、一括査定のサービスがあるので、そちらを使ってもよいのですね。
ただ、一括査定のサービスは営業のお電話等もかかってくるようなので、注意が必要です。
心配であれば、大手が運営している一括査定を利用しましょう。
仲介を検討中なら、一社、業者を紹介しておきます。
新聞などのメディア掲載がある業者で、VRを使用した不動産取引など最先端の技術を取り入れながら工夫をしている業者です。
興味のある方は公式サイトを見てみてください。
ミライアス必要書類の準備
不動産業者選定の過程で必要な書類を準備しておきましょう。
通常の不動産売買で必要な書類はもちろんですが、賃貸物件の売買については、賃貸借契約書を用意しましょう。
賃貸借契約書には、賃料のことや敷金、特別条項などの情報がありますので、査定する際に必要になるでしょう。
また、管理会社を間に入れいている場合は、管理契約の書類も準備しましょう。
念のために補足しておきますが、ここでいう管理会社とはマンション全体の管理をしている管理会社ではなく、あなたのマンションのお部屋と賃借人を管理している管理会社ですね。
売買契約~賃借人への通知
売買が成立し、金銭の受け渡しなどが終了したら、賃借人へ通知するのが一般的です。
地位継承通知といわれるものですね。
これは、貸主が変わったことや退去の際は新しい貸主から敷金が返金されることなどが記載されています。
敷金や賃料の清算
通常の不動産売買でも固定資産税の清算などがありますが、賃貸物件においては敷金や賃料の清算もあります。
この辺の清算は、実際は不動産屋が計算してきます。
が、念のために知っておきましょう。
敷金の清算
賃貸といえば、分からないのが敷金ですよね。
家賃の1か月分から3か月分程度を預かっている人が多いです。
預かっているということは、当然返さなければなりません。
そのため、買主との間で敷金を清算します。
先ほど少し触れましたが、新しい賃貸人が退去時の敷金を返すので、買主との間で清算するんですね。
清算方法は、売買代金から差し引く形になりますね。
例えば、売買代金3,000万円だとして、預り敷金が20万円だとすると
3,000万-20万ということです。
賃料の清算
賃料の清算も行わなければなりません。
これも具体例を出したほうがわかりやすいので、今年私が実際に行った取引を例に出します。
私は買主の立場でした。
売買の引き渡しは5月下旬。
売主さんはすでに5月分の家賃と6月分の家賃を受取済みでした。
そのため、引き渡しの日から月末までの日割り家賃と、6月分の家賃を売買代金から差し引くという形で清算しました。
先ほどの敷金の例と合わせて考えてみましょう。
清算しなければならない賃料が50万円とすれば、以下のようになります。
3,000万円(売買代金)-20万円(預り敷金)-50万円(清算賃料)=2,930万円(売主が受け取る金額)
これ以外にも清算するものはあるので、実際はこの通りにはなりませんが、敷金と賃料の清算はこのような感じになります。
まとめ
本日は長文になってしまいましたね。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
それではまとめていきましょう。
- 賃貸中のマンションでも売却は可能
- 賃借人に退去を要求するのは困難
- 賃貸物件の売却に強い不動産会社を選ぼう
- 査定は1社のみでなく、複数の査定をとって比較しよう
- 契約に必要な書類はあらかじめ用意しておこう
査定結果に納得できない場合は、他の不動産業者に見積もりをとるか
営業の電話などがかかってくる可能性はありますが、一括査定を検討してみるとよいでしょう。