不動産売買の手付金とは?宅建士がわかりやすく解説

こんにちは。宅建士のRenです。

本日は手付金に関して書いていきます。

私が取り扱ってきた中でも一般の方から多い質問の一つが手付金に関することですね。

手付金は払ったほうがいいですか?

とか

手付で解除できるのはいつまでですか?

などなど。

確かに、不動産業界の謎な部分ではあると思います。

そこで今日は手付金について、宅建士であり不動産会社を経営、不動産投資もしている私ができる限りわかりやすく解説していきます。

なお、実際の法律では様々な決まりがあり、正確に解説するにはかなり込み入った話になります。

ただ、このページでそれをやってしまうと「わかりやすく」の部分が犠牲になってしまいますので、本記事ではかなりの省略を入れています。

あらかじめご了承ください。

すでに何らかの物件の申し込みなどに進んでいる方は、ケースバイケースな部分もありますので、担当の不動産業者に疑問点をぶつけるのがよいでしょう。

真摯に答えてくれなければ、良くない業者です。

不動産売買で交付される手付金とは?

実は手付金って色々種類があるんです。

その手付金がもつ意味が違ってくるというものですね。

ただ、日本で使われるいわゆる「手付」は「解約手付」であることが多いです。

めっちゃ簡単に説明すると、売買契約後でも契約を解除するためのものです。

買主は支払った手付金を放棄する(手付流し)

売主は受け取った手付金の倍額を買主に返す(手付倍返し)

これにより、売買契約締結後でも解除することができます。

あまりないことではあるのですが、買主さんの気持ちが変わったり(もっといい物件が見つかった)、売主さんの気持ちが変わったり(もっと好条件で買ってくれる人が見つかった)という場合に起こる事態ですね。

ここで、よく聞かれる手付金は払っておいた方がいいですか?という質問ですが

私個人としては、手付は払っておいた方がいいという答えですね。

手付金がないということは、手付流しによる解除ができないということを意味するからです。

これは私の友人に起こったことなのですが…

友人は中古のマンションを安くはない値段で買いました。

近くの空き地が気になっていたそうなのですが、当該物件を気に入った友人は特に調べもせず、売買契約を結んでしまったそうです。

売買契約締結後、実は気になっていた空き地に新築のマンションが建つ計画があるのを知ってしまいます。

しかも価格は中古物件から少し頑張れば手が届く範囲だったそうです。

結果的に、手付金を払っておいたので、契約を解除することも選択肢に入れることができました。

友人は、それでも中古物件の間取りの方を気に入っていたので、最終的には中古物件をそのまま購入したそうですが。

このケースでいっても、手付金を支払わなかった場合は多額の違約金を払わなければ解除できないということになります。

なので、手付金は自分を守る意味でも払っておいた方がいいですね。

手付金の相場は?

手付金の金額に特に決まりはありませんが、売買代金の5%~10%ほどが一般的です。

手付金があまりに高すぎると、手付解除が難しくなりすぎてしまいます。

逆に安すぎれば、手付金としての意味が薄くなってしまいますからね。

実際、3,000万円が売買代金であれば、手付は150万円~300万円ほどとなりますよね。

ここで、手付金を150万円と決めたとします。

実際、あなたが当事者であればどうでしょう?

大きな買い物をする際に、買おうと思っていた物件よりも遥かにいいものを見つけた場合、150万円であれば…という気になりませんか?

また逆に、売主であるならば、倍返ししてでも解除したほうが得という可能性も生まれる金額という感じがしますよね。

このように、売主買主双方にとって手付解除も現実的に選択肢に残せるくらいの金額に設定されることが多いです。

手付金を支払っておけばいつでも解除できる?

さて、売買契約が成立して手付金も交付しました。

この後は残金の支払い、物件明け渡しまでの間ならいつでも手付による解除ができるでしょうか?

これは、結論から言ってしまえば、いつまでも解除できるわけではありません。

法律的な話をすれば、相手が履行の着手を行うまでとなっています。

ここがややこしくて、「履行の着手」が何を指すのか。

実際の事例でいうと「他人物売買において売主が売主が他人の不動産を取得して登記」などということがあります。

一般の方だと、銀行に融資の申し込みをしたら履行に着手したことになるんじゃないの?って思われる方が多いのですが…

銀行に融資の申し込みをするということでは「履行の着手」に該当しないと考えられています。

……ちょっと、ややこしくなってきましたよね?

そうなんです、これ、決めておかないと揉めるもとなんですよ。

裁判とか、嫌じゃないですか?

なので、一般的には「手付解除期日」というのを買主売主双方の合意で決めておきます。

いついつまでだったら手付による解除ができますよっていう取り決めですね。

手付解除期日はいつまでが妥当か?

ただ、これにも注意が必要です。

私がまだ不動産投資をし始めたばかりの時の話ですが…

仲介していた不動産業者から「手付解除期日は〇月〇日でいいですか?」

と電話がありました。

その日付とは、契約日の翌日だったのです。

それでは手付金の意味がないではないかとこちらが指摘したら

「いや~売主さんの気持ちが変わらないように…」

などという返答でしたが…

先ほど上でも書いたように、手付金はいざとなればこちらからも売買契約を解除できるため、買主である自分を守るためにという意味合いもあります。

そのため、契約日から手付解除期日までがあまりに短いものは、自分の解除できる権利としての手付金の意味がありません。

確かに、めちゃくちゃほしい物件で、売主の気持ちが変わらないように…ということでなら意味がありますけどね。

では、どのくらいが妥当なのか?というと、一般的には契約日から2週間程度というのが多いですね。

まとめ:手付金の持つ意味をしっかり考えよう

さて、できるだけわかりやすく手付金のことについて書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?

ご自身が買主である場合、手付無しでいいですよ!っていう不動産屋さんには注意しましょうね。

手付金は売買代金に充当されるものですので、手付金がなくても結局払う金額は同じです。

ならば、手付金はきちんと支払っておいて、いざという時に備えましょう。