マンションの修繕積立金値上げでもめた出来事【体験談】

分譲マンションに住んでいれば、多くの人に訪れる可能性がある「修繕積立金の値上げ」

いつもは不動産投資やマンション売却についての役立つ情報などを発信している当サイトですが、本日はコラムのようなものです。

いつも情報ばかりだと疲れてしまいますからね。

ただ、もしあなたが分譲マンションを購入する予定があるならば、いつかこういうことも起こるのかなと参考にはできるかもしれません。

20代前半で分譲マンションの管理組合理事長に

多くのマンションでそうなのですが、分譲マンションには管理組合が存在します。

マンション住人(区分所有者)で作る自治組織のようなものです。

※この記事では、わかりやすく区分所有者を住人と表記しています。

一般的には、分譲マンションは管理費を支払って管理会社に管理を委託しています。

その管理会社が管理組合が円滑に回るようにサポートしてくれますが、あくまで決定権は住人にあります。

レアケースではありますが、管理会社は管理組合から契約解除を申し渡される可能性もある存在です。

実際に、私の住んでいたマンションでは当時の管理会社が契約を解除されていました。

管理組合には理事会があり、理事会のメンバーは立候補、推薦、輪番制などで決められますが、輪番制が多いように感じますね。

私が20代前半、社会人になりたてのころはまだ親と暮らしていました。

親に代わり、マンションの管理組合の理事会に参加した時のことです。

当時、私が住んでいたマンションは80戸を超えていたと記憶していますので、それなりの規模のマンションです。

私の地域は高齢化が進み、持ち回りの役員たちも私以外は高齢者でした。

他の役員では年齢的な問題から理事長にはなれないということでした。

私はやむなく、理事長になってしまったわけです。

管理会社から修繕積立金不足を指摘される

理事長になってくれないかと管理会社から打診があった際に言われたことです。

「理事長といっても、理事会に参加したり総会の時に挨拶をしたりするだけですから」

確かにこれは、間違ってはいません。

特に、マンション新築当初などは、管理組合の仕事は多くありません。

ただ、マンションが建って10年もすれば、大規模修繕が見えてきます。

数年後に迫る大規模修繕に向かって、修繕積立金が不足していることが予想されれば、修繕積立金の値上げが検討されます。

この修繕積立金の値上げ案を総会で可決しなければならないのです。

なお、十分に修繕積立金があるならば、値上げする必要はありません。

が、多くのマンションでは、新築の時は、販売しやすくするために修繕積立金を安く設定していることが多いです。

例えば、同じような立地、同じような設備のマンションの場合、修繕積立金が月に5千円のマンションと1万円のマンションなら、どちらを選ぶ人が多いと思いますか?

一般の方であれば、安い方を選びますよね。

そうして、ゆくゆく問題になってくるのが「修繕積立金の不足」というわけです。

大規模修繕はしなければなりませんから、修繕積立金が不足している際には、選択肢は限られます。

  • 月々の修繕積立金を値上げする
  • 大規模修繕の際に不足額を住民(区分所有者)で割る

後者は大きな金額の一時金となってしまうので、負担できない人が出てきます。

実際、私のマンションで取られた方針も前者の「値上げ」でした。

ただ、この値上げの年に理事長になってしまうと、本当に大変なのです。

臨時総会の回数も増えるし、参加者も増加する

私が理事長になる前の年、引継ぎもありますので総会に参加しました。

参加者は理事を含めても20名程度だったと思います。

ほぼ、当時の理事会と次期の理事会のメンバーだったと思います。

マンションの管理組合の総会は、だいたいがこんな感じです。

が、私が理事長の年、修繕積立金が不足しているので値上げの必要があると管理会社から助言があり、大変なことになってきます。

まず、理事会で集まることがたくさんありました。

理事会のメンバーが値上げするという方向性でまとまるかどうか、というところから始まります。

意見がまとまると、今度は総会に向けての話し合いが始まります。

理事会では、住民の総会で値上げを可決させるための材料集め。

住民に納得してもらうため、複数の建設会社から見積もりを取るよう管理会社に指示を出します。

当然、年に1度の総会だけでは、まとまる可能性は低いので、臨時総会を開催しました。

案内文に修繕積立金の値上げの議題があったため、いつも集まっていた会場ではなく、広めの会場を管理会社に用意させました。

この時の私は、まだ20代前半で、予想が甘かったですね。

「必要な値上げなんだから、結局みなさん承諾してくれるだろう」

なんて考えていました。

会場には、毎年の総会とは違って、ほぼすべての区分所有者が集まっていました。

夫婦で来ている世帯もあったので、参加者は100名を超えていたと思います。

私は、他の理事とともに住民たちと向かい合う形で席に着き、理事長としてあいさつを済ませると、臨時総会が始まりました。

予想以上の大紛糾

臨時総会は、私が思っていた以上にもめにもめました。

もちろん、値上げも必要なら仕方ないとわかってくれる住民たちも多かったのですが、反対する住民も相当数いましたね。

反対の住民の意見で、きちんと意見を言ってくれる人は助かりました。

例えば、「そんなに足りないはずない」という意見。

これには、複数の業者から見積もりをとっていたので、対応できました。

次に、「そもそも修繕積立金が安すぎた」という意見。

これについては、当初の修繕積立金を決定していた会社が謝罪しました。

大多数だったのが「綺麗に見えるのに、なぜ大規模修繕が必要なのか」という意見。

これは、管理会社からも、要約するとボロになってしまえば、余計にお金がかかるし、将来的にマンションの価値も落ちてしまうと説明がありました。

一番、対応に苦労したのは反対勢力のお年寄りたちです。

「私たちはそんなに長く生きないんだから、将来の話をされたって、今のお金の方が大事」

この意見には、正直まいりましたね。

ものすごく、自己中心的な考えではあるのですが

内心、そりゃそうだろうなと思ってしまいました。

また、機械式駐車場の修繕費が大きかったことも問題になりました。

「私たちは車を駐車していないのに、なぜ機械式駐車場の修繕費を負担しなければならないのか」

という意見が出ました。

これについては、外部の人にも駐車場を貸し出していたので、その賃料を修繕積立に回していたため、区分所有者全員の利益になっているのだからということで納得してもらいました。

さらに、自分のマンションを誰かに売却する際には、駐車場の有無で査定額は変わってくるのだから、今駐車場を利用していなくても、利益は得ていると指摘しました。

最終的にはぶち切れ

何度目かの臨時総会でのことでした。

もうすでに数回、矢面に立たされてきたわけですが、突然、あほらしくなってしまいました。

なんでたまたま値上げの時期に理事長になってしまったがために、私が矢面に立たなければならないのか?

「あなたがたは、私に文句を色々言っておられるけれど、私もあなたたちと同じ住民ですよ。なんで文句を言われなきゃいけないんですか?」

言ってしまったなぁとは思いましたね。

ただ、20代前半の若者に色々文句を言っていたのが恥ずかしくなったのか、その回の臨時総会はおとなしくなりました。

この後も、数度の議論が交わされていきました。

最終的には、お年寄りの中にも賛成してくれる人が増えていきました。

「修繕積立金が不足しているマンションを残されても、後に残った家族からしたら迷惑でしかありませんよ」って賛成派の住民の意見がきいたのかもしれません。

結局は、多数決での採決となり、修繕積立金の値上げ案は可決されました。

値上げ可決の後ももめる管理組合

マンションの修繕積立金の値上げ案が可決すれば、それで安心かといえば、そうでもありません。

このあとは、実際の大規模修繕に向けて動いていくことになります。

これは、どの程度まで修繕するのかという話し合いや、それぞれの住人の思惑も絡んできます。

例えば、やたらと一部分の改修を求める住人がいるなと思ったら、その住民の使っている駐車スペースの近くだった…などなど。

大規模修繕が終わって、やっとひと段落といった感じですね。

マンションは管理が楽だし、自分でやらなきゃいけないことも少ないからといって分譲マンションを購入する人は多いです。

ただ、この記事のような分譲マンションならではの苦労もあることは、知っておきましょう。