不動産投資で物件を選ぶ際も、実際に収益を生むようになってからも常に気になるものといえば「利回り」ですよね。
投資であるからには絶対に避けては通れないものです。
これから不動産投資を始める人は特に物件選びの際の利回りが気になりますよね。
なので今回は利回りの計算方法と、実際に不動産投資をしている人の利回りはどのくらいなのかについて書いていきます。
私自身が不動産投資をしているので、私の不動産を例に書いていきます。
実際の物件を例にするので、きっとわかりやすいと思いますよ。
Renと申します。 宅建士の資格を取得後、不動産・建設関係の仕事をしておりました。 宅地建物取引士(宅建士)・1級土木施工管理技士・1級建築施工管理技士等の資格を保有しています。
不動産投資における利回りとは
不動産投資における利回りとは、簡単に言ってしまえば「利益の指標」です。
その物件でどのくらいの利益を生んでいるのか、またその利益は投資したお金からするとどのくらいの割合なのか。
この「投資したお金に対する利益の割合」が「利回り」というわけです。
そして、この利回りというものにも種類があります。
気にしなくてはいけないものは「表面利回り」と「実質利回り」
特に物件選びの際に目にするのは「表面利回り」です。
表面利回りとは?
それではまず、表面利回りについてみていきましょう。
まず計算方法から説明します。
表面利回り = 年間の賃料収入 ÷ 投資額 × 100
収益物件を探していると「利回り10%!」
などのうたい文句を見ませんか?
物件情報の利回りはほとんどの場合、表面利回りです。
例えば、こんな物件があったとします。
- 物件価格1,200万円で一棟売りアパート
- 2室あり各家賃は月50,000円
この場合、まずは年間の賃料収入を計算しましょう。
2(室)×50,000(1室あたりの月家賃)×12カ月=1,200,000円
この物件では1年間に120万円の家賃収入があるということがわかります。
そしてここから表面利回りを計算していきます。
1,200,000円(年間収入)÷12,000,000円(購入価格)×100=10%
つまり、この物件の表面利回りは10%というわけです。
普通に考えるとこの物件に自己資金で投資した場合、10年で投資分が回収でき、その後は利益がでるように感じますよね?
しかしながら、そう簡単な話でもありません。
ここまででお気づきの方もいらっしゃると思いますが、実際の不動産投資では「経費」が発生しますよね?
ここで出てくるのが実質利回りです。
実質利回りとは?
実質利回りとは、年間の家賃収入からコストを差し引いた値で求められる利回りのことです。
実質利回り=(年間賃料-年間諸経費)÷(購入代金+購入にかかる諸経費)×100
年間の諸経費でざっとあげられるものでも
- 固定資産税
- 各種保険料
- 修繕費
- 管理費(不動産屋に管理を委託する場合など)
このようなものがあります。
また、物件を購入する際にも物件の代金のほか
- 仲介手数料
- 司法書士の報酬
- 各種税金
こういったものがあげられます。
先ほどの1,200万円の一棟売りアパートで考えてみましょう。
年間の賃料は変わらず120万円ですよね。
年間にかかる経費で例えば30万円かかるとします。
同様に、購入時の経費で80万円かかったとします。
(1,200,000-300,000)÷(12,000,000+800,000)×100
=900,000÷12,800,000×100
=約7.03%
この物件の実質利回りは7%ほどということになります。
また、多額の修繕が必要になった場合にはこれより利回りが下がることも考えられます。
このように、不動産投資とは表面利回りを見るだけでなく、この物件でどのくらいの実質利回りを見込むのか、どのくらいの実質利回りまでなら許容できるのか、その判断ということになります。
利回りを実際の物件で考えてみよう!
さて、ここまでの説明で例えば1,200万円のアパートで年間120万円の収入だと表面利回りは10%だよね!という説明をしました。
でも実際はそんなわかりやすい物件ないですよね(笑)
そこで、私が所有しているアパートを例に考えていきます。
年間どれくらい経費がかかるのか?
購入時の経費はどれくらいなのか?
もちろん、世の中の不動産がすべて私のもっている収益物件のとおりとはいきませんが、イメージはしやすくなると思います。
念のために重ねて申し上げておきますが、今から公開するのは私が物件を購入した当時の金額です。
保険料等は値上がりしている可能性がありますし、同様にその他の料金も私の地域のものですので、全国的に当てはまるものではありません。
イメージがしやすいように例として取り上げるもので、参考程度にしかならないことをご了承ください。
筆者所有の収益物件
どの物件をご紹介しようかなぁと考えておりましたが、一番最初に購入した物件を選びました。
理由は、この記事が今から不動産投資を始める人のために書いたものだからです。
実際に不動産業に従事してはおりましたが、自分で物件を買うとなるとまた違うもので…
やはりこれを読んでくださっているあなたと同じような不安を抱えながら、購入に踏み切ったのを覚えております。
では、まず表面利回りからですね。
私が購入したのは地方都市のベッドタウンのような地域の一棟売りのアパートでした。
売買代金は35,500,000円
それに対し、年間賃料収入は4,200,000円です。
先ほどの式に当てはめると、表面利回りは11.83%となります。
さて、問題は実質利回りですね。
当時、私が購入した際の諸費用ですが、仲介手数料や印紙税等、司法書士報酬や保険料、取得税まで含めてもろもろで…
約250万円でした…
当時の私も、業務上知ってはいたけど、物件以外にこんなにかかるんだなぁ…としみじみ思った記憶があります。
つづいて、年間の経費を見ていきましょう。
不動産屋さんの管理料が年間21万円、近隣の外部駐車場年間12万円、そのほか共用部の電気代や固定資産税等でもろもろで年間500,000円ほどかかっています。
そこに修繕費で今年度の場合20万円ほどかかっていますので、合計の年間経費が70万円ほどですね。
修繕費が年によって全然違いますので、ここは予測がしづらい項目になります。
上の式に当てはめますと…
(420万-70万)÷(3,550万+250万)×100=9.21%
実質利回りは9.21%ということになります。
表面利回りだけで見ると10年で回収できそうな利回りですが、実際のところは10年では回収できません。
融資を利用する場合、利息も発生します。
なので、融資を利用する場合は現実的な返済計画を立てましょう。
単に表面利回りだけ考えて「420万入ってくるから、年に420万返済して早く返済を終わらせよう!」
なんてことをすると、大変なことになりかねません…
※実際は、いくらくらい余るようにしようとか考えて融資期間を決めることになります
結局、利回りはどう考える?
ここまで書いてきて、「結局、利回りはどう参考にすればいいの?」と感じた方も多いでしょうね。
私が知ってもらいたかったのは、物件表記にある表面利回りをあてにして収入を考えない方がよいということです。
表面利回りで書いてあるほど、手元には残りません。
では、経費がかかることを見越して、表面利回りが高いものを選べばいいかというと、そう単純なことでもないです。
極端な例だと、物件案内には利回り20%なんていう物件もあります。
しかし中身を見てみると、木造で築60年経過している…
とかですね。
利回りが高いということは、それだけ売主が安売りしているということです。
そこには何かしらの理由があります。
築年数が経ちすぎているというのはわかりやすいですよね。
また、そういった物件でも、土地としての価値が高い場合はお得に買える優良物件だったりします。
逆に利回りが低いけれど、RCの築浅で最初のうちはあまり修繕にもお金がかからなそうだというような物件もあります。
つまり、利回りは物件の価値を決める一部に過ぎず、こうした様々な要因を複合的に考えないといけないということです。
重要なのは、出口戦略。
この物件は収益を得て、後々は解体して土地として売却しようとか
築浅だから返済が終了したら自分が購入したときより利回りを高めに設定して売却しようとか
そういった先のことまで考えて物件を選びましょう。
ただ、もしこれを読んでいる人で、めちゃくちゃお金持ちの人がいて、「ガンガン物件買って、売却益が出そうならガンガン売っていこう!」なんて考えている人は宅建業の免許が必要になる可能性が高いのはご承知おきください。
どこからが宅建業の免許が必要でどこからが必要ないという明確な規定はありませんが、その話に触れるとめちゃくちゃ長くなるので、またの機会に書きますね。
まとめ
さて、不動産投資に避けて通れない「利回り」について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
書き方からして「不動産投資ってあまり儲からないし大変そう」と感じたかもしれません。
しかしながら、私は現在も不動産を増やし続けています。
なんでか?トータルで見ると、やっぱり不労所得っていいなと思うからです(笑)
確かに考えなきゃいけないこともたくさんありますので、厳密に「不労」ではありませんが…
でも、企業で働いているときも家賃は入ってきますし、俗にいう「寝ててもお金が入ってくる」状態なわけです。
とはいえ、最初は誰でも手探り状態。
不動産投資に手を出して失敗したくないですよね。
そんな方のためにこれからも参考になる記事を書いていきたいと思っています。
不動産投資の勉強をしたいという方は下のような専門的なサービスもあります。
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気になる方は見てみてください。